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2005年11月25日 (金)

心温まる場面

いつもの「珍来」に入ったのは18時前。
夕食には少々早い時間ということもあり、先客はテーブル席に一人。
ワタシが二人目かと思ったら、座敷席から賑やかな声が。

「おまえ」「まじかよー」。
男言葉を使う女子高生の5人組。
明らかに場違いな雰囲気だが、最近よくいるメンバーだ。

彼女達に背を向けて座ったワタシは、連日の仕事の疲れと索漠たる思いで
言いようのない倦怠感に包まれていた。

すぐ近くのはずなのに、遠くで彼女達の声が聞こえる。
うるさくはないが賑やかな空気の中、ワタシの食事が運ばれてきた。

「お願いしまーす」
一人の女子高生が、女性店員に声をかけた。

店員はにっこり微笑むと、カウンターの奥へと姿を消した。
「会計ではないのか?」
そんなことを思いながら箸を運んでいると、さっきの店員がショートケーキを
お盆に乗せて現れた。
そのうちのひとつには、一本だがローソクが立っている。

誰かの誕生日のようだ。
ケーキはもちろん持込だろう。
それを許した店の対応に、驚きを感じた。

高らかに「ハッピーバースデー」が歌われる中、カウンターの向こうでは
女性店員の手でオレンジジュースの栓が抜かれている。

どうやらロウソクは吹き消されたようだ。

女性店員が若い男性店員の耳元で、なにか囁いている。
不思議そうな表情を浮かべる彼の手で、ジュースは座敷のテーブルに
運ばれて行った。

「こちらサービスです。良かったら召し上がって下さい。」

背中越しに彼女達の喜びの声が聞こえる。
「ありがとうございます」
いまどきの女子高生もきちんと礼を言えるのだ、ということに安堵してみる。

カウンターに戻った店員に、送り主の彼女が耳打ちした。
「私につけておいて」

なんとも粋なはからいに、ワタシは感動した。
これが接客というものではないか?
そう思った。

「若いって、いいよね。」
女性店員は目を細めて呟いた。
若さを羨むでもなく、はしゃぐ彼女達に皮肉を言ったのでもない。
おそらく彼女は、いま目の前に居る女子高生達と青春時代の自分達をダブらせ、
時間を共有しているような気持ちになったに違いない。
あの時の彼女は、なんともいえない素晴らしい笑顔だった。

その笑顔の先で女子高生達は乾杯し、プレゼントを手渡している。
「たいした物はあげられないから、みんな手紙書いたから」
「私はポエムよ。ポ・エ・ム」

「まじでー?」
ガサガサと包みを開ける音がする。

沈黙が続いている。

どうやら手紙を読み始めたようだ。

「ちょっと…。泣いてんの?」
「まじで?」
「ちょっと、やめてよー。超ヤバイんだけど…。泣くなよー。」

餃子を焼く音に消されそうになりながら、振り絞るような声が聞こえた。

「みんな…。……ありがとう。」

返事はない。

声の主は言った。
「卒業式の後も、このお店にみんなで来ようね」
か細くも、芯のある声だった。

「うん。絶対来よう!」

その言葉を耳にしつつ、ワタシはホッとしながら店を出た。

月並みな言い方だが、なんだか足取りが軽くなった。

ささやかなれど、気持ちいっぱいの誕生日パーティー。
それを受け入れて、ジュースを差し入れた店員。

こういう人達が、わが街には住んでいる。
こういう人達が、まだニッポンにはいる。

どうしてどうして、世の中まだまだ捨てたもんじゃない。

店員さん、女子高生達、今日はありがとう。
大切なものを思い出させてもらった気がします。

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